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「あらあら、結構、派手に揉めてるみたいね!」
シュミレーター室の入口から、その元凶であるナターシャがあっけらかんと笑みを浮かべて姿を現す。
「おいおい、あんたが言うなよ……」
豪一は顔一面に厳しい表情を如実に現わし、ナターシャを睨む。
「うふふ、そんなに恐い顔しないでよ、一昨日は楽しんだクセに……」
ナターシャは妖艶な笑みを浮かべて、豪一に近づき股間をなで回す。耳元に熱い息を吹き込み、甘く囁き掛ける。
「止めてくれ、まんまと、嵌められちまったぜ……」
豪一のそんな、ボヤきにナターシャはクスクスと笑いながら言葉を返した。
「あら?、"嵌めて"楽しんだのは、貴方でしょ!?」
まったく、恥じも外聞もない、開けっ広げな言い回しにナターシャの貪欲な本性を豪一は感じる。
「そう言われちゃあ、オレの立つ瀬がねぇな!?」
豪一は鼻の頭を右手の人差し指で軽く掻きながら、照れくさそうに答える。
『ちょっと!、何2人でイチャイチャしてんのよ!!。訓練はもう始まってんのよ!!、まったく本当に……』
スピーカー越しにエリカの怒声が豪一とナターシャの会話をぶった切る。彼女の苛立ちが言葉の強さと口調で丸分かりだ。
「はいはい、ごめんなさいねエリカ、今から調整室に入るからちょっと待ってて」
そう答えると、ナターシャは豪一に軽くウインクをして、調整室に向かう。すれ違いざまにナターシャは豪一に一言、耳打ちした。
「あの娘、嫉妬してるの、からかうと面白いのよ」
イタズラっぽく、舌を小さくペロリと出して意地悪そうに笑うナターシャに豪一は女の性悪さを感じて、頭が痛くなる。
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