トライアル、2

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『まったくもうー、大の大人がぐちゃぐちゃと文句言うんじゃないの!!、戦場なんてのは不条理の連続なのよ』 エリカがシュミレーター内部から豪一に向けて、余計な事を言うなとたしなめるが、豪一の口は収まらない。そこに、ナターシャは一言提案したのだった。 『まあ、変態と言うのは、口が過ぎるわね、科学者としては、非常に興味深いデータなんだけど、もう少し頑張ってくれると、お姉さんとしては、とっても嬉しいんだけど……、いかがかしらミスター轟』 またもやナターシャの甘い言葉に豪一はぐにゃぐにゃだ、あっさり引き下がる。エリカの額がピクピクと引き釣り痙攣しているが、あえて彼女は感情を表に出さずこらえていた。 (なんなのよ、この展開はいい様に弄ばれてるじゃない、アンタには男のプライドって奴はないの!!) 無論、エリカの心中の言葉など豪一には、届く筈もなく彼はナターシャの実験動物と化していたのだった。 (フフッ、いい子だわ、とっても素敵よ、もっと良く能力を見せて頂戴) そして、ナターシャの心中の言葉をエリカが知るよしはなかったのは言うまでもない。
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