＝タクティカル・ギガント＝

エリカ =復讐の女=

私が青春時代をすごした、ウエストポイントはニューヨーク州にある。あの有名なハドソン川沿いだ。元々が要塞だから、周りには何もない、本当に何もないのだ。

校内はゴシック様式の質実剛健かつ、暗く重い石造りの建物に囲まれ、風光明媚なハドソン河畔のキャンパスと言えば聞こえはいいが、真冬になると空も建物も制服も全部灰色だから気が滅入る。古風に統一され過ぎた様式は威圧感と圧迫感そして閉塞感が半端ない。

こんな、灰色の城塞に４年間も幽閉されたら、嫌でも鉄の意志を持った人間にならざるをえないだろと感じる。

そんな厳しい環境の中でも折れずにやってこれたのはルームメイトのナターシャのおかげだった。

貴重な自由時間も好き勝手は許されない。門限もある。下級生は車の運転は出来ないし、飲酒が見つかれば100時間の行進が待ち受けている。飲酒運転は即放校だ。

もし、飲酒した事実を認めず隠そうとした場合は倫理査問委員会の前にたたされ詰問を受ける羽目になるのだ。

ちなみに、アメリカの飲酒許可年齢は２１歳だから、仮に１８歳で入校したら卒業までは飲めない計算だ。

でも、ナターシャのヤツ、たまに、ウォッカを水代わりにラッパ飲みしてたけど、酔っぱらった様子がなかったのには驚いたよ、どんだけ強いんだアンタは……。