エリカ =復讐の女=

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嵐は去った……。敵味方の残骸と死体を残して。異様な光景だった。喰い破られた戦車と死体が戦場に散在している。その中で私は、見覚えのある姿を見つけた。 一瞬、息が止まる……。信じられなかった、いや、信じたくなかった。そこに、転がっているのは、喰い破られ半身だけになった、最愛の人の無惨な姿だった。 また……、奪われてしまった……、胸の内から沸き上がる憎しみと悲しみに身を引き裂かれる。 涙が枯れる程、泣き尽くし、私は抜け殻になって戦場を離脱していった。 あれから3年、心の傷は癒える事はなかった。今は、母の故郷、日本で新たな仕事に取り組んでいる、士官学校時代の親友、ナターシャとの再開と日本チームの変なパイロットは私に人間的な感情を甦らせてくれていた。 このパイロット、轟豪一は、かつて愛した人とは、全く違うタイプだけど、自分に正直な所だけは似ている。 口は悪いが信念を持って行動している男。私は少しだけ好意をいだいていたのかも知れなかった。
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