業火の中で……

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「2人とも、そこまでだ、悪ふざけも大概にな……」 安住一佐の低く静かな声が2人を平常心に引きずり戻す。2人は一佐に再び敬礼し、並んで居住まいを正して対峙する。 「この度、2人には新型の機甲歩兵の試作機のトライアルをやってもらう」 「新型ってのは、"コイツ"のことですか?」 豪一は、背後に控える、機甲歩兵を右手の親指で指し示した。現在の兵器体系から大きく外れた異質とも言える、このヒトガタの兵器は、ある目的を達成する為に製造された。 「一佐、"例の巨人"ですか?」 豪一は、一佐の方へ探る様な視線を送り、その反応を見守っていた。そんな、豪一の意思を汲みとった、安住一佐は、一息付くと静かに口を開いた。 「うむ、そうだ……、対巨人用兵器(アンチ・ギガント・ウエポン)の試作機トライアルをキミ達にやってもらいたい」 安住一佐の言う"巨人"とは15年程前、この世界に突如出現した"ギガント"と呼ばれる巨大人類の事だ。 15年前、世界各地に出現したギガント達は、マンホールと呼ばれる亜空間に通じる穴から、この世界にやってきたのだ。
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