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「まったく何て顔だよ、化粧し直しておけよ」
豪一は顔をチラリとエリカに向けて苦笑する。すっかり気分を害した彼女は口をへの字に曲げ無言で化粧を直し始めた。
(まったく、誰のお陰で、こんな目に合ってるのか、分かってる?)
心中で毒付きながら、化粧を直し終えたエリカは、正面を向き口を開いた。
「豪一、あなたはパパに何か送った事はあるの?」
「いや……、ねぇな」
少し戸惑い気味に答える豪一にエリカはあきれた様子で一気にまくし立てる。
「信じられないわ、大事に育て上げてくれた親に感謝の気持ちはないの!!」
「そりゃ、ありがたくは思ってるぜ……」
なぜか、いつもの調子が出ない歯切れの悪い物言いの豪一にエリカは彼の親子関係の微妙さを感じていた。
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