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渋谷駅近くにある大型商用施設の駐車場に車を預けた2人が今、いるのは渋谷駅西口の"あの犬"の前だった。
「ワォー、チューけんハチこうーデスね」
「少尉殿、少し発音おかしくねぇーか!?」
「いいじゃない、この場所は海外ニュースでも良く出てるのよ、ちょっと写真を撮ってよ!」
エリカは自分のスマホを豪一に手渡すと、ハチ公の前に立ち撮影する様に促す。
「よっしゃ、ポーズ取れよ、顔はマズイが格好は決まってんな!」
憎まれ口を叩きながら、豪一は数回シャッターを切る。ハチ公前から戻ってきたエリカにスマホを渡すと、彼女は写真を確認した。
「んっ!?、ちょっと何、この写真、ポーズ決まってないじゃない……、センス悪過ぎだわ……」
「そいつは、モデルの問題だろうな!!」
「なんですって!?」
エリカの目が三角につり上がり、身体中が怒りのオーラに包まれている。
「少尉殿!!、失礼しました、業務の続行を致しましょう!!」
豪一はそう言うと、スクランブル交差点に向かってエリカの背中を押して歩き始めた。次の行き先はスペイン坂だ。井の頭通りを真っ直ぐに進んでいるとエリカが明るく叫ぶ。
「FOREVER21じゃない!!、懐かしいわ」
「女物の洋品店が珍しいか!?」
「この店は、カルフォルニア州、ロサンゼルスが発祥なのよ、向こうにいた時は良く利用したわ」
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