=渋谷攻防戦=

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結局、2人は車を止めた、商用施設ビル内のレストランで食事を取っていた。窓際の席からは、渋谷の街が一望できる。土曜日の午後、街中には人が溢れ華やいだ雰囲気が辺り一面に広がっていた。 (どうも落ち着かねぇな……) 豪一は、こういったオシャレな空間で食事をするのは苦手であった。彼の外出時に利用するのは、牛丼屋か中華料理店が多い、あの雑多な雰囲気が食ってる感じを盛り上げるのだ。 「どうしたの?、お金なら心配ないわよ経費で落とすから」 「おっ、いやカネの問題じゃない雰囲気がな……」 確かに、フォークとナイフで上品に食べる豪一に、最初に倉庫で豪快に食べていた彼の面影はない、もちろん服装が違う事も影響しているのだろ。 エリカは黙々とランチを口に運びながら豪一に問う。 「楽しめって言ったのは、あなたよ、そんなに私と一緒にいるのがイヤ?」 「イヤもクソもないな、仕事だから一緒にやってるだけだ。だがな、俺達はチームだ目的に向かう以上、達成の為なら個人の感情なんざ関係ねぇ、少尉殿、お前さんは少々、感情に走り過ぎてないか?」 豪一が言うのも仕方ない事だった。彼女はギガントに復讐を誓い、それに向かって一心不乱に邁進してきた。その姿は働き蜂の日本人である豪一から見ても、バケモノ染みていると思える程、異常な姿だった。
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