18人が本棚に入れています
本棚に追加
/343ページ
豪一は銃が撃ちたいから、自衛官になった訳ではない。自衛官か警官になる動機にそんな不埒な考えでなる者も多少は居るかもしれないが、彼は違う。
高校卒業時に家業の農業を継ぐか、重機を操れる土建屋になるかで悩んでいた時、高校の部活の先輩が自衛官になっており。
たまたま自宅で鉢合わせした豪一は先輩の重機の免許が取り放題と言う声にそそのかされ入隊書類にサインをしてしまったのだ。
「しかしなぁ……、生きてるヤツを殺すのはなぁ」
「こんな状況でよくそんなコトが言えるわね!!」
エリカは豪一に怒鳴りながらも、その射撃は正確さを失う事もなく、次々とゴブリン共を撃ち倒していく。
「まったく躊躇しねえな、機械的にぶち殺していきやがる」
「当たり前でしょ!!、殺らなきゃ、殺られるわよ!」
ボストンバックを抱えた、豪一が感心しながら答えるとエリカは言わせるなといった感じで、デザートイーグルを豪一に突き付けた。
「ちょっ!ちょっと待て!!、そんな物騒なモノを他人に向けるな!!」
「ウダウダ言ってないで、そこの、コンバットショットガンを使いなさい!、あんたみたいなヤツには、一番お似合いよ!!」
などと言いつつ、エリカは豪一の背後から迫るゴブリンを腰から抜き出したコンバットショットガンの一撃で葬り去る。
(まるで、ターミネーターじゃねぇか……、コレ以上文句言うと命がアブねぇな)
豪一は、圧倒的な戦闘能力を持つ、この相棒を頼もしく思うと同時にその破壊力を産み出す憎しみの深さに背筋が凍る思いがしていた。
最初のコメントを投稿しよう!