業火の中で……

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「まあ、確かにコイツは戦車の発展型みたいなもんですから、俺が扱えば"巨人"位、イチコロですよ」 涼しげな表情で、余裕綽々の豪一の態度に、エリカは眉をひそめ、不機嫌そうに呟く。 「貴方は、巨人(奴ら)の恐ろしさを知らない……」 エリカの言葉に豪一は、ビクリと反応する。鋭い視線を彼女に走らせる。 「その言い種だと、あんたは、巨人と戦った事があるのか?」 「あるわよ、奴らは、ほとんど不死身の化け物よ」 エリカの発言に、豪一は、目を見開いて顔色を変えた。学歴だけの人間だと勝手に思い込んでいた彼女が対ギガント作戦の現場で実戦を経験していた事は正直、驚きだった。 「不死身!?、そんな生物がこの世にいる訳ねぇだろ、マンガじゃあねぇんだぞ」 あきれ顔で、答える豪一をエリカは正面から見据えて恐ろしく激しい口調で返した。 「奴らは、異世界の生物なのよ!!、炎で焼き尽くす以外、今は方法がないわ……」 彼女の言うとおり、米軍は現在、対巨人用兵器にハイパーナパーム弾を主軸にした燃焼系兵装で対応していた。 ちなみに、ナパーム弾はナフサと呼ばれる、石油原料とパーム油(パーム椰子の果実から取れる油)を混合した燃焼材料を弾体に詰めた焼夷弾の事だ、ベトナム戦争中、大量に使用されジャングルを焼き払いベトコンを苦しめた。
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