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「決まってるでしょ……」
しょうがないといった表情でエリカが腰の拳銃に手を掛けた瞬間、豪一はエリカを抱えあげた。いわゆる、お姫様抱っこである。
「ばっ、馬鹿っ!?、この状況でコレは無いから!!」
その状態で豪一は素早くエレベーター内に身を踊らせる。床に着地した瞬間にエリカを押し倒し抱えこむ。
「ちょっと!?、ヤダ!?、な、何……」
「黙ってろ、少尉殿!」
そう言って、豪一はエリカの口を、己れの口で塞いだ。虚空を見つめるエリカの瞳が見開かれる。
爆発音の後、2人の居る床部分だけを残して、エレベーターの外側部分だけが上に疾風を伴って、凄まじい速さで弾ける様に上がって行く。
エリカは豪一の背中を強く抱き締めた。しかし、次の瞬間、彼女は力一杯、豪一のカラダを跳ねのけた。
「悪ふざけも、いい加減にしなさいよ!!」
よろめきながらも寸前で、バランスを取り豪一は床部分に踏みとどまる。
「少尉殿、スマン……」
反論するかと身構えたエリカに対して、素直に謝罪する豪一の姿が逆に彼女には腹立たしかった。なぜ、言い返さない、ケンカ腰でいる自分がまるで道化では、ないか!。エリカは自らを余りにも滑稽な姿だと感じていた。
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