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半壊したビルの玄関口から、外に出た豪一にゴブリンが上から襲い掛かってくるのがエリカの目に飛び込んでくる。
「もうーっ!!、言った先からコレなんだから!!」
エリカは全力疾走で駆け出し、豪一の至近距離でコルト・ガバメントの残弾を全てゴブリンに叩き込んだ。
「うへーっ!!、助かったが、ヤバ過ぎだろーっ、当たったらどうする!!」
「命があるんだから、文句は言わないの!!」
エリカは、そう言いながら拳銃をホルダーに納め。右手を豪一に差し出した。
「おっ!?、珍しいな少尉殿にしては、殊勝だな?」
エリカは、なぜ、この時、彼に手を差し出したのか、自分でもわからなかった。そうしなければ、ならない心情に駆られたのだ。結果的に"コレ"が悲劇を生んだ。
空に伸びる摩天楼の一角がキラリと輝き瞬く。ソレは音もなく、2人の間に落ちていく。豪一がエリカの右手を握った瞬間、ソレは地面に突き刺さった。
2人を隔てるガラスに赤い飛沫がぶちまけられる。一瞬の沈黙が2人を支配する。
エリカは綺麗に切断された右腕を見つめている。傷口から赤い血が一気に吹き出す。
「うっ!?、ヴァァァァァァァ!!」
エリカは天を仰いで叫びを上げていた。それは、獣の咆哮を思わせる、凄まじい声量の悲鳴だった。
この後の事をエリカは、覚えていない。次に気付いた時は、横田基地の軍病院内であった。
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