=渋谷攻防戦=

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ナターシャは、一息付くと豪一にたずねる。 「今から、木更津に戻るけど、一緒に来る?」 「この状態じゃ、高速も使えないし、便乗させてもらうか……」 「じゃあ、決まりね。付いてきて頂戴」 豪一はナターシャの後を追って待機する米軍のヘリに向かう。機中の人となった彼は窓越しに廃墟と化した渋谷の街を眺めていた。 半日前まで、あの賑やかだった街はいまや、屍と瓦礫の山と化して、その痛々しい姿を晒している。 「無残なモノね……」 「あぁ、ひでぇ……」 ナターシャの言葉に短く、答えた豪一も、黙り込む。 その日の夜、ナターシャは豪一の寝床にやってきた。 「寝付けないのよ、一緒に寝てくれる……」 「大胆だな、こんな夜中にやってくるなんて……」 昼間の戦いでギガントやゴブリンを殺戮しまくった、ナターシャは神経が高ぶってしまい興奮していた。 豪一の部屋に入るなり、彼をベッドに押し倒しむさぼる様に求めてきたのだ。 豪一の上でナターシャは激しく腰をうごめかせ、何度も絶頂に達した。まるで、精気を搾り取るサキュバスの様な仕草だ。ナターシャは激しくのけ反り絶叫する。 「まるで獣だな、大尉殿……」 豪一はベッドに大の字になり、天井を眺めていた。その横でナターシャはタバコを燻らせている。 「昔から、血を見るとダメなのよ……、理性が飛ぶの」 「まったく、親友が病院のベッドで苦しんでるってのに、あんたはベッドの上で悶えてんだからな……」 「最低な、女だって思ってるでしょ?」 「女としては、最高だが、人間(ヒト)としては、最低だな」
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