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大学の講義が終わり、バイトへ向かう途中にリュウスケから電話がかかってきた。
「優花、昨日、いつ帰ったんだよ?起きたら一人だしっ」
「あ、ごめん。鍵、開けっぱだったね」
「ちーがーうっ。泊まってってくれてもいいじゃんか」
「私たち、つきあってないのに?」
私は携帯越しのリュウスケの声を聞きながら、街を歩く。
大きなトラックが車道を走る音に、私は思わず耳を塞ぐ。
「……か?」
「え?なんか言った?」
「おまえ、……わざとだろ?」
「だって車がっ。今、外なの。もう切るよ?」
「冷たい…」
「どっちが?私を弄ぶ鬼」
「だからっ……」
そのあとのリュウスケの言葉はまた車道を走る車の音に掻き消された。
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