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扉を開けたリュウスケは私を見ていた。
私も言葉を出せずにリュウスケを見ていた。
「……あがる?」
リュウスケの言葉に私は顔を横に振る。
「……停学になって…ごめんね」
「優花のせいじゃないから。オレが勝手にやっただけ。前にバイクと喫煙見つかってるから、あと1回停学なったら退学だけどな」
リュウスケは笑ってみせる。
その笑顔が好き。
私は手の平をぎゅっと握りしめる。
「好き……だよ、リュウスケ」
私は思い切って言った。
言ったそばから泣きそうになる。
ミオの笑顔が頭を横切った。
裏切ってる。
だけど、この気持ちを止められるのは、リュウスケしかいない。
「…な…、んで?オレのこと避けてたくせに」
「好きだから…」
「……ごめん。受け取れない」
リュウスケのその言葉に私は頷いた。
ありがとう。
でも…、言えない。
サキちゃんみたいに私は強くない。
先生みたいに大人にもなれない。
私の瞳から涙がぼろぼろ零れて落ちた。
好き。
それでも……好き。
私は声をあげて泣いた。
リュウスケは私に近寄ってこようとして、私はその優しさに甘えることもできずに、そこから走り出した。
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