日陰の人達。日向のヒトタチ。

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名前。 ―――鈴木章利 年齢。 ―――17 趣味。 ―――ねぇよ 彼女。 ―――いねぇよ 座右の銘。 ―――有り得ねぇって ルックス。 ―――笑わせんなよ。 超低スペックな俺は。 今、こうして高二になりましたとさ。 桜の花びらが舞い、沢山の馬鹿どもがクラス替えの結果に一喜一憂する中。 俺は坦々と指定の教室への歩みを進めていた。 ちらり、と、肩についた桜の花びらを見る。”ふ”入りな上に薄汚れていて、綺麗じゃない。 ―――桜の花言葉とは、一体どんなモンだろうか。 皆が綺麗綺麗言うその繊維体。ちょっと興味が湧いて想いを馳せる・・・けど。 きっと、おめでたい戯れ事なんだろうな。 つまらなくなって、肩の花びらを摘み取りそのまま潰した。 土臭い液体が指先を濡らす。不愉快になって、手を振りぐしゃぐしゃの花びらをどっかに捨てた。。 ☆ 教室。 人はまだほとんどいない。つか無人。俺のクラスはね。 座席は何故か名前順になってなくて、窓際になったっぽい。 ま、どうでもいい。 「・・・。」 暇、だ。 早く来過ぎた事を後悔しつつ。 ちら、と。 クラス表が張り出された掲示板に群がる人だかりを見下ろす。 「死ねばいいのに・・・。」 誰にも聞かれないくらい小さな声で呟く。お決まりの台詞。 で。やっぱそんな独りよがりな主張は誰の耳にも入らない。 それも、お決まりだった。 今回を、除いては。
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