日陰の人達。日向のヒトタチ。

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というのも。 (・・・ん?) 視線を感じる。・・・何処だ。 俺は目を皿にして校庭の人だかりを探ったが、俺のほうを見てるヤツなんか一人として居ない。 「自意識過剰、だな・・・。」 ため息を付き、視線を教室に戻そうとした。 そん時。 「貴方も嫌なのね。」 ・・・は。 真後ろから声。 俺は恐る恐る振り向いた。 長い黒の髪を僅かに靡かせ、壁に寄り掛り冷めた瞳で目下の校庭を見つめる。 いかにも友達居なさそうな・・・女。 「嫌、なんでしょう。幸せそうに笑っている輩(やから)が。」 目線だけを振り向く俺に向け、冷たい声で言う。 「関係ねェだろ」 しかし。なんだか心の中を見透かされたようで不快だった俺は、ぶっきらぼうにそう答えていた。 「そうね。関係無い。・・・けれど、貴方は私と同じ人種。」 「は?」 不可解な台詞に対し聞き返した俺だったが、その女は足早に去って行ってしまった。 (黒猫が化けて出たらあんな感じだろうな・・・) 不気味・・・つか、なんか異常に暗い雰囲気を纏うあの女に、俺はそんな印象を抱いた。 そんな時、数人の男子が彼女と入れ代わりに入って来た。 「いやー、またお前らと同じクラスかよっての!ひはは!」 連中の中心で下品に笑ってる奴。”いかにも渋谷とかウロついてそうなギャル男”こと、竹野。 俺が刹那視線を送ると、運の悪いコトに奴と目が合った。 「・・・。」 あからさまにバツの悪そうな顔をする・・・俺。 しかしそれと相対的に、竹野は群れから離れこちらへ向かって来た。俺は視線を校庭へ移す。 そして竹野が隣にやってきた事を気配で察知した瞬間、俺は彼にだけ聞こえるくらいの声で 「「死ねばいいのに。」」 ・・・声が重なる。 しまった・・・。 「ぷふーっ!!?」 盛大に吹き出す竹野。ああ憎たらしい。死ね。 我がボキャブラリの乏しさを今更ながら後悔する。完全に次の手を読まれていたらしいな。 「なんか用」 ああ恰好悪い俺。 「別に。ただ、これでお前さんとはまた一年一緒なんだなってさ。」 嫌だけどな。馬鹿野郎。 「おいタケぇー、てあれ?お前鈴木と仲良かったっけ?」 取り巻き連中がぞろぞろやって来る。最悪だ。
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