討ち取れば勝ち

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それぞれ紅白に別れた者達をよく見れば、 皆、額に「かわらけ」と呼ばれる皿を縛り 付けており、これを竹刀で割り合うという 祝い事で、それは源平の合戦になぞられた 野試合なのである。 「土方さ──ん!!  頑張って下さ─い!!  なんなら私もお手伝い  しましょ─かぁ─?!」 「うるせぇーよ総司!!!  黙って見てろ!!」 この試合を検分する本陣からは、なんとも 明るく、暢気な声援が送られてきた。 今日の太鼓役を受けた沖田総司である。 「あぁ~あ。  私も参加したかったなぁ~  …あっ!ね~!!源さん!!  私たちも一緒に出ちゃおうよぉ!!」 「総司、歳さんや山南さんが鮮やかに  白組のかわらけを割るのを  ここで一緒に見てましょうよ」 軽く総司をたしなめ、いつもの優しい笑顔 で試合の行方を見守るのは、同じく鉦役で 本陣にいる井上源三郎である。  
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