憎しみの矛先

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「何ですか?」 「お母様とお父様…まだなんですか?」 「えぇ…多分まだ部屋に…」 「ならっ」 私の足はくるっと回転して来た道を戻る。 「!カナリア様!」 「ごめんなさいエリー!お父様とお母様が気になるの」 「カナリア様!」 折角助けに来てくれたエリー。 いつも私の事を心配してくれるエリー。 私の為に動いてくれるエリー。 それを私は裏切った。ごめんなさい、ごめんなさいエリー。 でもお父様とお母様が気になるのよ。そしてお兄様も。 お兄様の事だから一早く気付いて先に城を出たかもしれない。 でもそれなら先にお母様とお父様…それに私の心配もしてくれてもいいはずでは? 血が半分繋がり繋がらなくても私達は家族で兄妹なのだもの… 「はっ…はぁ…あつ…い…」 薄い寝間着を着ているのに汗だくだ。もしかしたら中が透けているかもしれない。それでも私は諦めなかった。 「っ…は…あ…く……お…とさま…おか…あ…さま」 どこ? 視界が歪んで道がわからない。 視界が真っ赤でわからない。 「っ…は…もう…だ…め」 熱さと眩暈に耐えられず私の躯がぐらりと傾き床に倒れる。 「ん…」 パチパチとはぜる音が耳に心地よい。
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