45人が本棚に入れています
本棚に追加
「何ですか?」
「お母様とお父様…まだなんですか?」
「えぇ…多分まだ部屋に…」
「ならっ」
私の足はくるっと回転して来た道を戻る。
「!カナリア様!」
「ごめんなさいエリー!お父様とお母様が気になるの」
「カナリア様!」
折角助けに来てくれたエリー。
いつも私の事を心配してくれるエリー。
私の為に動いてくれるエリー。
それを私は裏切った。ごめんなさい、ごめんなさいエリー。
でもお父様とお母様が気になるのよ。そしてお兄様も。
お兄様の事だから一早く気付いて先に城を出たかもしれない。
でもそれなら先にお母様とお父様…それに私の心配もしてくれてもいいはずでは?
血が半分繋がり繋がらなくても私達は家族で兄妹なのだもの…
「はっ…はぁ…あつ…い…」
薄い寝間着を着ているのに汗だくだ。もしかしたら中が透けているかもしれない。それでも私は諦めなかった。
「っ…は…あ…く……お…とさま…おか…あ…さま」
どこ?
視界が歪んで道がわからない。
視界が真っ赤でわからない。
「っ…は…もう…だ…め」
熱さと眩暈に耐えられず私の躯がぐらりと傾き床に倒れる。
「ん…」
パチパチとはぜる音が耳に心地よい。
最初のコメントを投稿しよう!