prolog

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遠い遥か昔に、2つの神が存在していた。 一人はナキラ、一人はブラウド。とても仲の良い神だったが、ある日二人は大喧嘩をしてしまいました。 大喧嘩した理由は、ブラウドが、魔の邪心に捕らわれたのが原因だった。 “何故だ。何故我らは人間達が望む通りの天候や作物も与えているのに、何も彼等は我らに見返りしないのだ。さも当たり前に暮らしている事が気にくわぬ” それは神が口にしてはいけない禁忌の言葉だった。 “ブラウド、今の言葉は訂正せよ。その邪な言葉は人界や人々の心に影響する” 仲が良かった頃、人界に住む人々の心には邪な心は一切なかった。 それは神の心に邪はないから。清らかな心が天候を、作物を、人々を包み込み、楽園都市を作っていた。 人々の心の状態は神によって影響するもの。 幸せな楽園が永久に続くと思っていた。 しかしブラウドはその楽園を間違っていると批判したのだ。 誰しも人々には感情がある『個』というものがある。 人には憎しみの感情も必要なのだと。 愛と憎の感情があって人は存在し、生きる事に幸を感じると、ブラウドは言うのです。 幸せだけじゃ楽園とは呼べないかのように。 いつしかブラウドはこの二人で作った楽園都市を捨てて新しい自分だけの世界を作り上げました。 その世界は楽園とはいえないドロドロした殺戮ある黒い世界。 神だったブラウドは悪魔…いや魔王に墜ちてしまいました。 天使が堕天使になるように神も堕ちるもの。 清らかな力は魔の力に… ナキラは止めようとしました。しかし止められませんでした。 争いというものをした事がなかったナキラがブラウドにかなうはずがなかったのです。 だけどブラウドが命を落とすのは呆気ないものでした。 自分が作った国で自分が呼び寄せたあの楽園に不満をもった僅かな人々のうちの一人の女に後ろを刺されたのですから… 神は刺されただけでは死にません。魔王も然り。しかし死ねたのです。
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