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「何でだよ?嘘だろ。
嘘に決まってるよ。
だって、それだけの理由で殺さないだろ。
仲良かったんだよな?
世話になってるマスターの娘だぞ。」
圭介はパニックを起こしながら、胃の中が逆流して来るようなムカつきを押さえながら、一気にまくし立てた。
「仕方ないのよ。
私の子供も、弟もあのせいで不幸だった。
あの事件は決して終わらないの。
なのに、彼の子孫だけがのうのうと生きているなんて、許せないもの。」
「彼?彼って誰だよ。」
「見張りをしていた人よ。首を吊ったね。
マスターは彼の息子。
茜は孫なの。
だから仕方ないでしょ?」
狂っている、と口にしようと、口を開いたが言葉にはならなかった。
立ち上がりたくても、立ち上がれない。
さっきから、何となく身体の異変には気が付いたものの、尋常な状況ではない為、身体が硬直したのかと漠然と考えていた。
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