小屋

16/17
前へ
/105ページ
次へ
「何でだよ?嘘だろ。 嘘に決まってるよ。 だって、それだけの理由で殺さないだろ。 仲良かったんだよな? 世話になってるマスターの娘だぞ。」 圭介はパニックを起こしながら、胃の中が逆流して来るようなムカつきを押さえながら、一気にまくし立てた。 「仕方ないのよ。 私の子供も、弟もあのせいで不幸だった。 あの事件は決して終わらないの。 なのに、彼の子孫だけがのうのうと生きているなんて、許せないもの。」 「彼?彼って誰だよ。」 「見張りをしていた人よ。首を吊ったね。 マスターは彼の息子。 茜は孫なの。 だから仕方ないでしょ?」 狂っている、と口にしようと、口を開いたが言葉にはならなかった。 立ち上がりたくても、立ち上がれない。 さっきから、何となく身体の異変には気が付いたものの、尋常な状況ではない為、身体が硬直したのかと漠然と考えていた。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加