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くる。その温かさに冷静さを取り戻した。
「晴景…」
名前を呼び、晴景の首筋に顔を埋める。背中に回された晴景の腕が心地良かった。
「落ち着いたか…刀を持っていなくて良かった。持っていたら、今頃死んでいたな。俺も、お前も」
耳元で、小声でそう言われる。埋めた顔を上げ、晴景の事を見つめる。
満月に照らし出された晴景の顔は、幻想的で、今にも消え入りそうで、その瞳に吸い込まれそうだった。
思わず晴景の顔に手を伸ばす。晴景も私の顔に手を伸ばしてくる。
月の魔力とでも言うのか、その場の雰囲気に呑まれたか、私と晴景は口付けを交していた。短い間なのか長い間なのかは解らないが、嫌な感じはしなかった。
「…元就、悩み事があるなら話してみろ。俺が出来ることならしてみせるさ」
「…その言葉に、嘘偽りは?」
「ない」
「信じて良い?」
「勿論」
「…驚かないで、聞いてくれよ…」
初めて他人にこのことを話す。妻にも言ってない。知っているのは私の親兄弟だけのこと。
「……晴景の、子供が…欲しい…」
「……は?」
「何度も言わせるな!…だから…その…晴景との、子供が、欲しいんだよ…」
「お前、男同士で子供ねだられても…」
やっぱり馬鹿に
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