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された。そうじゃないと言いたくて、首を横に振る。顔が紅くなるのが、自分でもわかる。
「男じゃないから…」
「へ?で、でも、女にしちゃ体つきは良いよな…」
「…誰にも話したことは無いんだが…実は…私…半陰陽なんだ…」
半陰陽。つまり、二成り。両性具有者。男でもなく女でもなく、どちらとも言えない存在。幼い頃より男として育てられてきたが、思春期の頃、とうとう私にも解禁の日がやってきた。月に一度血を流す事が、子供を授かる事が出来る何よりの証。
女中の話にも興味が無かった訳ではない。男としての、女としての、生体に関する知識。どちらも備えなければならなかった。
「は、半陰陽…なのか…」
大きくうなずく。そして顔をあげられない。嫌われた。そうに違いない。浅ましいこの私。中途半端な人間だ。
「良いのか?この俺で。珍しい体質だろ?なのに、こんな、隠居した身の俺で…」
「良いんだ。晴景だから。晴景じゃないと駄目なんだよ…」
うつ向いて喋る私の体を抱き締める。ただ、私に同情してくれたのか?それとも…いや、そんな筈はない。
「ここは冷える。戻ろうか」
「…うん…」
外の冷気に晒され、酔いも醒めた。立ち上がろうとする私の体が浮いた。
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