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外そうとするのを必死に外させまいとする。晴景の髪型を見て、取れないと思った。
「!あ!」
一瞬の隙を突かれ、兜を取り上げられた。
「お前…」
思わず両手で頭を隠そうとする。恥ずかしい様な、怖がる様な視線を晴景に向けてしまう。
「ぐ、偶然だ…」
同じ髪型なのだ。色味も似ている。二人とも細身で色白。端から見れば、兄弟にも見てとれる。
目が離せない。体が震える。何を考えて良いか解らない。戸惑う時間が長ければ長い程、晴景が近づいて来る。
「顔が赤いぞ。熱でもあるか?」
前髪で隠された額に晴景の手が当てられる。私より大きい手の感触。そのやわらかい刺激に、体が硬直する。呼吸が上手く出来ない。
「良く、わからないな…」
その声が聞こえると、今度は両手で顔を包まれる。こつん。という硬い感触。額同士を付けられた。
「お前、やっぱり、熱あるぞ」
その声が最後まで聞き取れないうちに、私は晴景の胸の中に倒れていた。その後の記憶は無い。
次に気が付いたのは、夜。着てきた服とは違うものを着させられている。
「気が付いたか」
声をかけられ振り向くと、そこには晴景の姿。
「さて、気付いたなら、向こうで宴をやってるから、行こうか」
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