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そのとき天井からゴトンと音が…
「あいつが逃げたんだ!
ちょうどこのエレベーターの天井部分が上の階のところで止まってるんだ!」
稲垣は悔しそうに叫んだ。
「非常ボタンを押せば…」
蒼井が非常ボタンを何度も押すが動かない。
「どうやらあいつは計算済みで止めたようだな。非常ボタンも作動させないように配線を切っているのかも知れない。」
稲垣はクールな眼差しで天井を見据える。
「よく映画とかじゃ天井から脱出してるのを見るけどどうかな?」
稲垣と同じように天井を見て眉間にシワをよせながら蒼井が言う。
「この際だからダメもとでやってみるか…
僕が肩車をすればいいんだね…。」
稲垣は真剣な面もちだ。
肩車をする稲垣。
蒼井の太ももの感触と温もりが伝わってくる。
密室のエレベーターの中で蒼井の香水の香りが稲垣の鼓動を高めた。
その時、急に蒼井を女として意識しはじめた自分に気づいたのだ。
天井へ蒼井の手が届く。
蒼井と密着することに稲垣は胸が高鳴るのを感じた。
蒼井が天井を開けるとドアが開いており、そのすぐ上の階が見える。
そしてエレベーターの天井裏には、またメッセージが…
「なにか…紙があるよ…」
蒼井がそれをとって上に上がろとすると急にエレベーターが動きはじめた。
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