希望ヶ丘

2/34
127人が本棚に入れています
本棚に追加
/293ページ
      (1) 「ここ、空いてます?」   ふいに声が耳に入ってきた。   「あ…はあ…どうぞ…空いてます」   寝ぼけながらそう答える事で、僕はいつの間にか自分が眠りについていた事を自覚した。   もう30分ほどは乗っただろうか。   列車は程よく混んでいる。   人々の吐息や体温があたりに充満しているよう気がして、僕は顔をしかめながら窓の外に目を向ける。
/293ページ

最初のコメントを投稿しよう!