養父

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養父

もう一人の父…養父の方は打って変わって、その街への引越しに複雑な表情を見せた。 親元から今まで、遠くても30分の距離から離れたことのない娘が、2時間以上はかかるであろう街へ、孫を連れていくことへの戸惑いだろう、と受け止めていた。 私の引越しも無事に終わり、一週間程経った頃、両親は余程心配だったらしく、連れたって新居へ来た。 新居を見た事と、孫が近くの公園で遊んだりする様子を見て、大分安心したようだ。 遊びに来た筈だったが、私は配線や日曜大工の様な事がとても苦手なので、父は新居の手直しに精を出してくれていた。 足りないものを買いに、父を車に乗せてホームセンターに行く途中、車の中で父がポツリと 「昔、この街に住んでいたんだよ。」と言った。 それも初耳だったので、私は又驚く羽目になった。 だけど、それきりその話題は出ずに夜になった。
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