第一章 日常

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街が桜色に彩られる4月 ダラダラと長い坂道を背の低い黒髪の少年が一人歩いていた。カインである。 「………なんでこの学校選んだんだろ?」 彼は毎朝登校する度に同じことをこの場所で愚痴る。 「なーに朝から陰気なこと言ってんだ?」 「あっオージ、おはよ」 カインとは対照的に背が高く髪が少し茶色がかっているこの少年の名は、坂上 桜時(サカガミ オウジ) カインとは小学生からの付き合いである。 「今日は珍しく早いねオージ」 「俺だって始業式ぐらい遅刻せずにいくさ」 「たまたま早く起きただけでしょ?」 「うっ!!」 「やっぱり」 「そっ、そんなことより早く行こうぜ!!」 「あっ、待ってよオージ」 そんなくだらない会話をしながら二人は長い坂道を走ってのぼっていった。
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