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どうやって帰ったのかもよく覚えていないくらいの衝撃を受けたあたしは、土日で仕事が休みにもかかわらず、部屋に籠もりひたすらHEMELのCDを聞いていた。
「夢じゃないの?」
帽子とサングラスで顔はよく分からなかったけど、声は間違いなく佑飛さんのものだった。
あたしは棚から1枚のCDを取り出した。
「あの時の笑顔と一緒だった…」
TVで見る佑飛さんはクールであまり喋らない。
でも、あたしの中では無邪気に笑う彼がいたから不思議だった。
中2の時に買ったデビュー前のHEMELの自主制作のCD。
ケースには『ター子』と書かれたあたしの名前と3人のサイン。
今は弾いていないけど、ギター兼ボーカルだった佑飛さん。
昔はベースで、今はギターの亮(リョウ)さん。
ずっとドラムの真人(マサト)さん。
中2の時からずっと憧れていた人達に、あんな間近で会って、しかも話した。
思い出しただけで心臓が爆発しそう。
「まぁ…あんな偶然、二度と有り得ないよね」
やっぱ、あたしって日頃の行いがいいんだな。
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