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「大丈夫?」
突如として、頭の上から降ってくるハスキーで低い声。
顔を上げると、あたしの前に佑飛さんが立っていた。
「えっ…何で?」
「足、痛い?」
………あぁ、怪我してる子って………あたしか…!?
「えぇぇえぇ!?」
状況をようやく理解したあたしは、1週間前と同じように叫んでしまった。
周りの子達の視線が痛い。
「あの…えっと…大丈夫です。
どうぞライブを続けてください」
せっかくのライブをぶち壊したくない。
あたしは痛みを堪えて立ち上がり、何とか笑顔で答えた。
今だに騒がしい周りの声が聞こえる。
さすがに触ろうとする人はいないけど。
すると佑飛さんは、少し近付くと耳元で誰にも聞こえないように囁いた。
「無理しないでね、たー子。
ライブ終わったら裏口に来てね」
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