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「多分、捻挫だと思うよ。
取りあえず湿布貼ったけど、ちゃんと病院行ってね」
手当てを終えた佑飛さんは、取り出した物を救急箱にしまいながら言った。
「あの…ありがとうございます。
手当てしてもらっちゃって…」
「たー子が気にする事じゃないよ。
俺等が原因みたいなもんだし」
佑飛さんの言葉を聞き、気になっていた事を思い出した。
「あの…たー子って…」
「夕って…カタカナの『タ』に似てるよね?
………って俺が言ったんだよね?」
そう言いながら無邪気に笑う佑飛さん。
何だか感動して泣きそうになった。
「覚えてたんですか?」
「当たり前だよ。
だってHEMELのファン第1号だもん!」
あの日、サインをしてもらった時に、佑飛さんが『買ってくれたのキミが初めて』なんて言うから、調子に乗って『じゃあ、あたしがファン第1号ですね』なんて言ってしまっていた。
人気バンドになったにも関わらず、そんな昔の事を覚えててくれたなんて思わなかったあたしは、嬉しさのあまり泣いてしまった。
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