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「美奈斗様、お呼びですか?」
五時、王室へと亜耶が入って来た。
後ろには、スーツを持った純も一緒だ。
「よく来たわね、亜耶。早速だけれど、支度を手伝って」
濡れた長い黒髪をドライヤー乾かしながら、亜耶を歓迎する。
亜耶もニコニコしながら、純からスーツを受けとった。
そして。
「亜耶、こちらも」
そう言って、亜耶に紙袋を渡す。
「スーツといい、これといい…せっかくお嬢様のお綺麗な姿を楽しみにしていましたのに」
亜耶は残念そうに呟くと、美奈斗と共に着替えを始めた。
純は、部屋から出ていく。
「どうしてドレスではないのですか?よりによって男装など…あぁ、私のお嬢様が……」
「問答は無用よ。さ、早く支度を済ませるわ」
まず、美奈斗の胸にさらしを巻く。
胸があったら女だとばれる。
ワイシャツ、背広。
亜耶は手際よく支度を済ませる。
「それでは、髪を…」
紙袋からそれを取り出す。
それは、かつら。
美奈斗の長い髪を全て上げ、ヘアピンを使って留める。
そうして、かつらを被せる。
「まぁ…やはりお嬢様は何を着てもお似合いです」
亜耶はうっとりと言った。
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