第二話:夜会

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会場はさほど離れていないが、車で移動するのが筋だろう。 車の中で、純が美奈斗にあるものを渡す。 「陛下、これを」 「陛下と呼ばれると違和感があるな。せめて伯爵とかにしたらどうだ?」 美奈斗は渡された『仮面』を付けながら言った。 「いいえ。『美奈斗様』が『王妃』なら『水都(ミナト)様』は『陛下』でしょう」 確かに道理だが。 ややこしいな、とため息をつく。 車が止まると、先に純と亮が出た。 その瞬間、多分外の女達はうっとりと見ているか、黄色い声を上げているのだろう。 「陛下、足元にお気をつけください」 亮が誘導し、純が手続きをこなす。 何とも素晴らしいコンビネーションだ。 「亮、例の女は居るか?」 「まだ見かけておりません。それよりも、あちらの方々が騒がしいのですが」 亮はちらりと後ろを見た。 そこには、純や亮と一言声を交わそうとしている女性陣があった。 「相手をしてきたらどうだ?私は一向に構わないが」 美奈斗はつまらなさそうに言った。 が。 純はさらに美奈斗に耳打ちしてきた。 「女性方の狙いは陛下、あなたのようです」
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