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「見て。ほら、あいつ」
女子の冷ややかな視線を浴びながら、標的になっている『あいつ』は本を読んでいた。
「ちょっと。無視?」
四人の女子が、固まって『あいつ』の机を囲んだ。
「おい!」
一人の女子が、机を叩く。
『あいつ』は活字から視線をその女子に向けた。
「読書の邪魔だわ」
アルトの声は、短く言った。
高校一年生にしては背が高く、凛々しい。
『あいつ』は高校生というよりも、『女性』。
しかも、この高校の王妃に気に入られている。男子にも人気がある。
それがさらに女子たちの怒りをあおる。
「ちょっと、何よこいつ!」
机を叩いた女子は、怒りに任せて殴りかかった。
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