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「私の従者を離してもらおうか」
バルコニーに飛び込んできたのは美奈斗と亮だった。
「あら。王妃様」
沙耶は嬉しそうに言った。
だが美奈斗は何も答えない。
「あっ…今は『陛下』でしたわね。私としたことが…申し訳ありません」
美奈斗と亮は息を呑んだ。
沙耶の微笑は、凍りつくように冷ややかだった。
純の首から切っ先を離さず、沙耶は視線だけを美奈斗の後ろに動かす。
そこには白い鷹が音も無く、飛んでいた。
「もう一度言おう。純を離せ」
「あら嫌よ。……どうしてもと言うなら、私と戦いましょう―――」
沙耶は純に向けていた鎗を美奈斗に向けた。
美奈斗はやれやれと言うように肩を竦めると、己のネクタイを外す。
そしてそれを右へと振る。
一瞬青い光が走り、ネクタイは剣へと変化した。
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