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沙耶の切っ先が美奈斗の首に当てられる。
肩で息をしている美奈斗は、その場にしゃがみ込んでいた。
「陛下!」
純と亮の気が一気に張り詰める。
亮は体術。純は魔法を使うことができる。
二人がかりなら、たとえ美奈斗を負かした相手でも勝てるだろう。
何せ、相手はまだ少女だ。
「……ま、確かに強いといえば強いですけど、ね」
唐突に沙耶の口調が変わった。
沙耶は武器を空中に投げ捨てる。
それはふわりと白い羽根となり、霧散した。
「私より弱いなんて意外ですね。少し修行をいたしませんと」
「な…」
沙耶が指を鳴らすと美奈斗の仮面が砕け散った。
美奈斗の黒い瞳が暗闇の中で光る。
「私は私立冬炉(トウロ)高校、生徒会副会長。我が会長が自分の片割れ……あなたを欲しています」
沙耶が両手を自分の前に突き出す。
彼女の周りに突風が吹く。
風が落ち着くと、沙耶はしっかりとした女性―――先程までとは打って変わり、背も高く、表情も艶やかである。
「私、実年齢は十六だもの。魔法も体術も十分学んだわ」
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