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「入ります」
川瀬は『王室』と書かれたドアを開けた。
しばらく進み、さらにもう一つドアを開ける。
その中の正面の壁が壁ではなく、ガラス貼り。
「遅かったわね、川瀬」
ガラスの前に立った少女。
川瀬に背を向けている。
「申し訳ございません。少々面倒事がありまして」
川瀬は、先ほどとは違ってかなり声が低い。
少女はくっと笑うと、顔を少しだけ川瀬に向けた。
「もう着替えたらどう?いつまで女装をしているつもりかしら」
長い黒髪。少女の第一印象はそれだ。
唐突に、少女は振り返った。
幼い風貌。それを強めるのは、ふっくらとした頬だろう。
服装さえ変えれば、小学生にだってみえるだろう。
だが、何か怪しい雰囲気がある。
「お帰り、我が僕(しもべ)」
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