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「美奈斗(ミナト)様、どう致しますか?」
純は『クイーン』こと、『美奈斗』に意味深に問いかけた。
「川瀬 亮(リョウ)、今晩の予定は?」
「夜会があります」
川瀬―――亮は手帳をぱらりとめくり、答える。
そして一礼をし、別室へと下がった。
「純。お前、今晩の予定は開けておきなさい」
「かしこまりました」
純の応答に満足した美奈斗は、一人掛けソファーに座った。
「亜耶(アヤ)を呼んでおきなさい。それと、新しいスーツを一着」
「スーツ、ですか」
「そう」
美奈斗はテーブルの上の雑誌を取ると、純に手渡した。
「今晩は『陛下』よ。私が行ったらつまらないもの」
ゆっくりと笑んだ少女は、艶美(エンビ)である。
二つの双眸は、静かに閉じられた。
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