始業式

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帰路の途中は大河内さんとお喋りをしていた 「ねぇゆう君。幼稚園のこととか覚えてる?」 大河内さんはさっきから昔のことばかり聞いてくる 「幼稚園?……ぜんっぜん覚えとらん」 しかし、残念ながら俺は全然覚えていない。正直小学校の記憶もあやふやだ 俺ってばかなのかな? 「えぇー……それじゃあゆう君の家の近くにある公園は?」 「公園は覚えてる。てか今もあるし。……なんで公園があるって知ってるんだ?」 「そりゃ知ってるよ……だってそこでゆう君にプロポーズされたんだし」 大河内さんは頬を赤く染めながらいった ていうかほんとに俺んち知ってるんだな…… こんな会話をしながらもちゃんと足は俺んちのほうに向いている 俺んちはこの町でも珍しい住宅街にある そう珍しいのだ。 なんせ正太んちは回り全部田んぼか畑だからな 「そろそろだね」 大河内さんが俺にそう言ってきた 確かにそろそろで俺んちだ 「ほんとに俺んち知ってるんだな」 俺が大河内さんにそう言うと 「当たり前だよ!昔よく遊びに行ったしね」 だそうだ。 しかししつこいようだが俺はほんとに覚えていない ここまでくると嘘の線は消えて真実しか残らなくなってくる 「えぇーと……このあたりなんだけど……」 俺んちまですぐそこで大河内さんは、少し迷いはじめた まぁ仕方ないっちゃあ仕方ない。なんせここらへんは昔に比べて様変わりしたからなぁ と俺が思っていると… 「あった!ねぇこれでしょ?ゆう君ち!!」 と大河内さんはある家を指差した それは確かに俺の家だった
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