自傷行為

4/5
前へ
/385ページ
次へ
保健室では優しい先生が待っていた。 だけど優しいのも最初だけだった。 いきなり馴れ馴れしく名前を呼び捨てで呼ぶのも嫌だったけど、あの作り笑顔も嫌だった。 ある日、じっくり話を聞いてもらえることになった。 クラス、家庭、人生。 どれから話そうか。 何を話そうか。 でも、いざ話すとなると なぜか涙が出そうになって、話せなかった。 泣きたくなかった。 泣くのが恥ずかしかった。 だから必死に涙をこらえて、ただ笑顔を作って相づちを打っていた。 大人が嫌いだ。 大人が嫌いだから、自分の弱い面をさらけだしたくなかった。
/385ページ

最初のコメントを投稿しよう!

271人が本棚に入れています
本棚に追加