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休み時間の廊下。
俺の前を歩いていた黒崎さんがハンカチを落とした。
俺はそれを拾うと黒崎さんに声をかけた。
「黒崎さん。ハンカチ落としたよ。」
「…………」
彼女は、やはり無言で、こちらを振り返りもせずに廊下を歩いていく。
なんだよ、せっかく教えようとしてるのに。
「なあ!ハンカチ落としたよって言ってるだろ?なにもそこまで無視しなくてもいいじゃないか!」
俺は黒崎さんの肩に手をかけた。
ビクッ!
一瞬肩が震えた。
直後、黒崎さんが振り向いた。
「……それ、返して!」
俺の手からハンカチを取ると黒崎さんは行ってしまった。
……彼女の目、動揺していた?
いや、あれは何かに怯える目だった。
そう。
さっきの彼女の目は、
毎朝鏡で見る、俺の目と……似ていた。
マキコに怯える俺。
では、彼女は何に怯えているんだ?
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