第二話:孤独な病床

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雨は相変わらず降り続いている。それほど強くはないが、止む気配など微塵もない。   「…暇だなぁ…ゴホッ…ゴホッ」   風邪を引いている者としてじっと寝ているのは当たり前だが、如何せん暇で仕方がない。活発的な性格である沙織はこの暇な時間を有意義に過ごす術をあまり持ち合わせていない。   「~♪」   不意に携帯が鳴る。沙織は頭の上に手を伸ばすといつものように受信したメールを確認する。   「…はぁ。なんだ…。」   受信したのは着うたサイトのメルマガだった。友人からのメールなら少しは暇を潰せるかも、そう思い多少期待していたために思わず落胆の色を浮かべる。   「…寝ようかな…」   しばらくカチカチと携帯をいぢっていた沙織だったが、飽きたのかまたアクエリアスを一口二口飲むとすっぽり布団をかぶり目を閉じた。窓の外からは相変わらずサーサーと雨の音が響いてくる。
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