第二話:孤独な病床

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「…ん…ぅんん…」   どの位眠っただろうか、雨もだいぶ小降りになっている。沙織はぼーっとした頭で携帯を開き時刻を確認する。待ち受けの端に16:30と表示されている。   「四時半か。お母さんは仕事か…」   沙織の母は夕方から近くのスーパーでパートをしている。帰ってくるのは夜9時過ぎだ。   「ご飯…作らなきゃ…」   この家では沙織が学校から帰ると沙織が夕飯を作ることになっている。これは母が夕方から仕事に行くこともあって、母と二人で話し合った結果決めた事である。沙織はゆっくり上体を起こすと、台所に向かうためベッドから降りた。   「…ん?」   ふとベッドの横のテーブルに目が行った。テーブルの上には一人分の食事と薬、そして一枚のメモが置いてあった。沙織はメモを手に取り目を通す。   「ご飯…作ってあるんだ。お姉ちゃんも来るんだ」   メモには、   『夕飯は作っておきました。部屋に沙織の分を置いておきますので食べれるなら食べて。後、心配なので栞に来てもらうように連絡しておきました』   と書いてあった。一通り目を通すと、テーブルの食事に視線を移した。お粥にかぼちゃの煮付け、味噌汁。沙織の体調を考えて消化のよいものを作ってくれたようだ。   「…食べて寝よ…」   沙織はメモをテーブルに置くと、ゆっくりと用意された夕飯を食べ出した。   「…ん、やっぱりお母さんの手料理は美味しいな」   久しぶりの母の味に感嘆しながら自然と箸が進む。
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