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「……」
自分の足下の水たまりと夜空を交互に見つめながら美里はしばらく呆けていた。
(はぁ…お漏らしさんになっちゃったんだ…私…)
誰しも人生一度は不運な出来事は必ずある。だが、美里にとってたった今経験した『お漏らし』という出来事は不運という言葉で片付けられるレベルではなかった。
「うぅ…ひっく…ぅぇ…」
おしっこを漏らしてしまった自分への不甲斐なさと恥ずかしさから自然に涙が流れてくる。
「…ぅわぁぁぁん!!」
とうとう本格的に泣き出してしまった美里。幸か不幸か誰一人として彼女に救いの手を差し伸べる人は現れない。
「…ひっく…ぅぅ…ひっく…」
ひとしきり泣いた後、ゆっくりと立ち上がる。未だに涙は留まることを知らない。
「ひっく…ぅぇ…ぅぅ…」
泣きながらも濡れた下着を脱ぐ。その下着を茂みに投げ捨てた美里は、おしっこで濡れた手で涙を拭いながら来た道をトボトボと歩き出した。
ビュゥゥ…
ふっと、一迅の風が吹き抜けた。その風が彼女の濡れたスカートを撫でる。
「…ひぃ!!」
不意に訪れた冷たさとそれに伴い催してしまった尿意にまた立ち止まってしまう。そして…。
チョロチョロ…
我慢する気力なと微塵もない美里は、またお漏らししてしまった。量こそ少ないが、また足下に若干の水たまりが広がる。
「…あ…また…」
一度だけ足下に視線を落とすと、おしっこの滴をポタポタ落としながら、またトボトボと歩き出した。
~完~
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