第二話:孤独な病床

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その日は前日からの雨が降り続いており、そのためか少し肌寒かった。   「ゴホッゴホッ…あぁ、ヒドくなっちゃった…」   ベッドの中で体温計が指し示す数字にため息をつく。38.5℃…結構な熱である。   「昨日びっしょりだったからなぁ…ゴホッ…ゴホッ」   彼女の名前は沙織、陸上部に属するうら若き17歳の女の子である。       大会も近いとあって、部の監督は昨日雨の中の練習を断行した。沙織も多少の雨なら問題ないと思い最後まで練習を続けた。その結果がこれである。   「…早く治さないと…大会出れなかったら最悪だし…」   体温計をテーブルに置き窓の外に視線を送る。雨は一向に止む気配はない。   「幸い今日は土曜日だし、ゆっくりしとこ」   沙織はテーブルに置いてあるアクエリアスを一口飲むと、深く布団をかぶり再び窓に視線を投げた。
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