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「まだ生きていたのか…、ギルバート。」
牢屋の扉の方から男の声がした。
男の名は、シルバート・グライアス。少年、ギルバートの父親。
父は昔、ギルバートの事をギルと呼んでいたが今は他人の様に接する。
(お前らが俺を殺さないからだろ。)
ギルバートは心の中で思った。
魔法や剣による虐待。死にそうになれば、治癒魔法で生きさせられる。
ギルバートに虐待する者は遊び感覚で攻撃していた。
ギルバートは魔法が使えない。武器もない。虐待する者に反抗はできなかった。
「惨めだな。ギルバート。だが、その姿を見るのは今日で最後だ。」
シルバートはニヤリと不気味な笑みを浮かべた。
(やっとか…。今日まで耐えていて良かった。)
ギルバートはこれから起こる事を分かっているようだ。
「捨てるんだろ?早くしてくれ」
ギルバートは冷たい声でシルバートに言った。
「ふっ、感謝しろよ?この私が転移魔法で捨ててやるんだからな。」
シルバートは声に出して笑った。
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