ep:1

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「残念だがこの世界の設定において魔法は有るぜ」 文字に表したら赤くなりそうな喋り方をしながらどこからとも無く現れた魔女ベアt…………ではなく魔王に、持っていた剣を振りかざす。くそ、魔女なんていねえ。 「無駄だって気づけよ。それにオレはまた塩を送りに来たんだぜ?」  胡散臭いが、ここで反抗してもこちらが危ないと判断し、俺は魔王の話に耳を向ける。何てことは無かった。要は 「お前もその剣を媒介にして魔法が使えるさ。前の勇者はそうしてオレを封印したんだからな」 ということらしい。なら話は早い。今ここでまた封印してやる。 「焦るな餓鬼、二週間後の午前二時きっかりにまたお前の前に現れてやるから戦いやすい好きな場所に居な」  それだけ言うと、魔王はまた闇へ解けて消えてゆく。――くそ、完全になめてやがる。殺そうと思えば簡単に殺せるはずなのに、嬲殺しにすらしない。それどころか、あいつにとって不利になることばかり……。怒りに任せて壁を殴る。壁にヒビが入る程の力は、生憎持ち合わせていなかった。  ――絶対倒す。この手で、この剣で。勇者と同じ名にかけて……!
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