ep:1

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 それからは、あいつに言われた通りといっては癪だが、修行をすることにした。どうすれば魔法を使えるのか。どうすればあいつを倒せるのか。剣を持ち、炎でも出てこないかと念じてみる。 「うわ!?」  念じた通り剣から炎が出てきたため、驚いて剣を落とす。剣が手から離れた瞬間に炎は消えた。剣を拾い今度は同じように電気が出るように念じてみる。やはり剣はバチバチと音を立てて青白い光を放った。――俺、本当に使えるんだ……魔法。  暗唱などの必要が無かったため、習得に時間はかからなかった。集中力と想像力さえあれば、火や電気くらいは直ぐに出せることは分かった。だがそれだけでは足りない。次に俺は、剣を持ちながら空を飛ぶことを想像してみる。すると体は浮き、自分が思った方向に自由に動くことが出来た。ここまで出来るとなんだか楽しくなってくる。……これから魔王と戦わなきゃいけないって言うのに。そんな、俺が新しい玩具を与えられた子供の如くはしゃいでいた頃、報道では、何人もの犯罪者が惨殺体で発見されると言う報道がされていた。
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