5人が本棚に入れています
本棚に追加
そして約束の日。二時少し前。俺は通っている高校の校庭に来ていた。ここが近所では一番広く、激しい戦いをするのに最適だと判断したためだ。外灯と月だけが辺りを照らし、木が風に揺られ音を立てる。そして二時きっかり、魔王は俺の前に姿を……いや、正確には気配を現した。二週間前は分からなかったが、はっきりとわかる。魔王は俺の二〇メートル程先に、居る。
「よう、ゴスロリ魔女っ子。魔王ってのは部下を先に戦わせるのが定石だと思ったぜ」
「随分威勢が良いな、二代目勇者。そっちこそ僧侶も何も無しか」
俺の声に反応したのか、姿を見せる魔王。俺の最大限の侮辱の言葉をいとも簡単に返して、薄笑みを浮かべている。――今は笑っていろ。最後に泣いて詫びたって、その息の根を止めてやる!
「お前、親父とお袋と御岳さん以外は犯罪者ばっかり殺したみたいだな。新世界の神にでもなるつもりか?」
「何だその新世界の神ってやつ。それよりあんま時間も取りたくねーし、いくぞ!」
刹那、俺の懐へ入る魔王。しかし、それよりも早く俺は空へ飛ぶ。そこから一メートル大の火の玉を五つほど作り、地上へ放つ。流石にこれは当たらず、グラウンドに五つのクレーターを作るのみだった。
最初のコメントを投稿しよう!