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「起きてないのかな? じゃあチューしよう!」
俺が寝てることを良いことに(実際には起きているのだが…)とんでもない事を口にする姉ちゃん
。
まずい…唇が奪われる
「ん~~~~~!」
「止めい!」
バッと目を開きキスを迫ってくる姉ちゃんの頭を押さえた。それに負けじと姉ちゃんも押し返す。
姉ちゃんの唇はタコみたいに尖っていた。
「な~んだ、起きてたんじゃない。」
諦めたのか姉ちゃんはパッと離れた。
マジで寝てたら唇奪われてたし…
てか、初めから気づいてたな!
「今起きた。」
わざとらしく右手で目を擦る。
今日は日曜だから、せっかく昼まで寝ようと思ってたのにな…
「そう、ならいいわ。行人、今日買い物に付き合ってよ。」
姉ちゃんは机に納まっている椅子を引き本来とは逆に座りながら言った。
「何で?」
「いいじゃない! さっさと準備してね?」
たいした理由も聞けず姉ちゃんは部屋を出ていった。嘆いても仕方ないのでベッドからおりパジャマを脱いで私服に着替える。
「よし!」
姿見で服装をチェックする。
駅まで出るのでちょっとはそれなりの格好に着替えた。(と、言ってもジーンズに長袖と半袖の重ね着なのだが…)
「おはよう母さん!」
リビングに降りると母さんと姉ちゃんがテーブルで朝食を食べていた。
「いつまで寝てんだこの愚息!」
「酷いよお母さん!将来の旦那さんに向かって!」
俺を見ると母さんに罵声を浴びせられた。
母さん、日曜の朝から止めてほしい…
姉ちゃん、庇ってくれるのは嬉しいが何故に結婚前提なんだ…
「いや、法律的に無理だからね!」
「そんな事は愛の力で!」
姉ちゃんにツッコミをいれる。
すると姉ちゃんは祈るようなポーズで、明後日の方向を向いて言った。まるで、姉ちゃんにだけスポットライトが当たっているように見える。
「でも、姉ちゃん。愛の力ではどうにもならない事もあるのだよ。」
テーブルの椅子に座りキザっぽく諭すように姉ちゃんに言った。
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